2012/09/21

JAXAとNSIDC、北極海海氷の面積が観測史上最小記録を更新と発表

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とNational Snow and Ice Data Center (NSIDC)が、北極海海氷の面積 観測史上最小記録更新と発表しました。

JAXAは、第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)による地球の観測において、マイクロ波放射計が観測した北極海の海氷データを解析、今年の海氷面積は、8月24日に421万平方キロメートルに縮小し、それまでの観測史上最小記録を更新したと発表。さらに、海氷面積はその後も減少を続け、9月16日に349万平方キロメートルを記録したとのことです。
北極域は、すでに気温低下が始まっており、結氷に伴い海氷面積も増加へと転じていることから、9月16日の面積値がこのまま今年の最小値(観測史上最小記録)になるとみられるとのことです。

また、アメリカのNational Snow and Ice Data Center (NSIDC)も、2012年は観測史上もっとも北極の海氷の縮小が確認された年となったと発表しました。

以前は、アメリカのNOAAやNSIDCの画像などをみていましたが、JAXAの観測が加わり、より多くの画像などを目にすることができるようになりました。

今後の海氷の動向にも長期に渡っての注意が必要です。


プレスリリース / 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、平成24年9月20日
北極海海氷の観測データ解析結果について~北極海海氷の面積 観測史上最小記録更新~

Gcom_w1_120920_02_l
-----image(”北極海の海氷分布 上-2012年9月16日「しずく」/AMSR2(アムサー・ツー)[検証中](観測史上最小分布)、下-1980年代の9月最小時期の平均的分布(米国衛星搭載マイクロ波センサの解析結果)”) : 同リリースより-----
20120920_arctic_sea_01

" 宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、7月3日から第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)による地球の観測を継続してきました。
マイクロ波放射計が観測した北極海の海氷データを解析した結果、今年の海氷面積は、8月24日に421万平方キロメートルに縮小し、それまでの観測史上最小記録を更新しました。海氷面積はその後も減少を続け、9月16日に349万平方キロメートルを記録しました。北極域は、すでに気温低下が始まっており、結氷に伴い海氷面積も増加へと転じていることから、9月16日の面積値がこのまま今年の最小値(観測史上最小記録)になるとみられます。

20120920_arctic_sea_03
-----image : 同リリースより

今年の北極海氷は、観測史上初めて400万km2を下回り、これまでで最小だった2007年9月の425万km2から日本列島2つ分も小さくなりました。これは、1980年代の平均的な面積と比べると、半分以下の小ささにまで縮小したことを意味しています。
北極海の海氷縮小の背景には、1980年代以降増加傾向にある北半球の気温上昇に伴い、海氷厚が徐々に薄くなり、大気場(気温や風)や海水温の影響を受けやすい状態に海氷が変化してきていることがあるとみられます。特に今年は、春の段階で北極海のほぼ半分の海域が薄い一年氷(前年の夏以降に生成した氷)で広く覆われていたこと、また、夏期には大型の低気圧が北極海上空に発生し海氷域を襲っている様子が、衛星画像でも捉えられており、海氷の融解縮小を促進する効果があったものと推定されます。

JAXAでは、今後も「しずく」による北極海氷の監視を続けていき、ウェブサイト等で最新の情報を公開いたします。

北極海氷のこれまでの衛星画像の解析結果と解説につきましては、以下のWEBサイトに掲載しております。
.......... "

関連
JAXA 衛星画像&データ > 地球が見える > 2012年7月~9月 : 2012年8月25日掲載

JAXA : 北極海海氷モニター
"北極海の海氷密接度の分布画像および海氷面積値情報は、JAXAが米国アラスカ州立大学北極圏研究センター(IARC)に設置しているIARC-JAXA情報システム(IJIS)を利用した北極海海氷モニターwebページ上で日々更新を行い、公開..... "

JAXA : 第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)

Press Release: Arctic sea ice reaches lowest extent for the year and the satellite record-----NSIDC,19 September 2012
20120927_seaicegoddard
-----image(”Sea ice can take many forms, as seen in this image of Arctic sea ice from a recent Operation IceBridge aerial survey. Varying thicknesses of sea ice are shown here, from thin, nearly transparent layers to thicker, older sea ice covered with snow. —Credit: NASA”) : 上記リリースより
- News / Arctic sea ice extent settles at record seasonal minimum(19 September 2012)

参考エントリー
海洋研究開発機構、日本の冬の寒さを説明する新たな知見となる、バレンツ海の海氷減少がもたらす北極温暖化と大陸寒冷化を公開-----自然エネルギー、2012/02/13

[ カテゴリー : 北極・南極/極地 ]

北極海の海氷調査へ出航=大型観測船「みらい」-青森・八戸港 / クリッピング 時事通信-----しなやかな技術研究会、2008/08/18

Arctic ‘Report Card’ Shows Continued Climate Changes / プレスリリース NOAA(北極の海氷の縮小が確認された)-----しなやかな技術研究会、2007/11/02

参考
NSIDC : Ice Bridge
Icebridgesite
-----image : 上記サイトより

- NSIDC : View NSIDC Data on Virtual Globes: Google Earth
- Sea Ice Index

Scientists Assess Role of Arctic Storm in Epic 2012 Ice Loss



(Andrew Revkin、 2012/09/19 )


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クリッピング 2012

[初出:自然エネルギー 2012/9/21]

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